2023年7月12日水曜日

創作昔話

 むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へしば刈りに行きました。おじいさんはいつもより深い山奥へ入ってしまったため迷子になってしまいました。さらに山奥へ入ったおじいさんは、そこで桃の国を見つけました。桃の国は、小さな桃、大きな桃、もっと大きな桃がたくさんあって、人々は桃の衣装を纏っていました。大きな桃は赤ちゃんのゆりかごになっていました。ある時、一つの桃のゆりかごが風にあおられ川に落ちて、どんぶらこ、どんぶらこ、とゆっくり流れていきました。桃のゆりかごは、中の赤ちゃんをおぼれさせてはなるまいと皮を閉じて赤ちゃんを守りました。桃の国はおおさわぎです。一部始終を見ていたおじいさんは、桃の国の番人に見つかってしまい、桃の国の記憶を奪われ、しばを纏わされ、気がついたら、家の前に倒れていました。そのころ、赤ちゃんが入った桃のゆりかごは、洗濯をしているおばあさんの川岸に、どんぶらこ、と近づいていました。   ー 続く ー


ムジカ